子どもと絵本を楽しむために
Fun With Child

絵本以前に大切なこと

誕生から1歳頃

大人の語りかけが
あかちゃんのこころを育てます

 毎日、目に見えて大きくなってゆくあかちゃん。その身体を育てるのは、母乳やミルクですが、いったい、あかちゃんのこころは、何によって育ってゆくのでしょう。それは、まわりの大人が語りかけることばです。
まだことばを話すことはできないあかちゃんも、大きな声で泣いたり、ニッコリ笑ったり、手足をバタバタさせて喜んだりと、懸命に“おはなし”しています。どうぞそれに応えて、「おなかすいたの?」「そう、うれしいの」と、目と目を合わせて、語りかけてあげてください。そうすることで、あかちゃんの中に“大好きな人とこころが通じ合う喜び”が育ってゆきます。それは、あかちゃんのこころを育て、人に対する信頼感を生み、ことばの源になってゆくのです。

 ただ、日常生活の中で使われることばは限られていますし、初めての子育てで、あかちゃんにどう語りかけたらいいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、絵本を読んでみてはいかがでしょう。絵本の中には、生活の中ではなかなか出会えない美しい言い回しやリズミカルなことばがいっぱいつまっています。また、絵本は、想像力をはぐくみ、感性を養う美しい絵でも、あかちゃんに語りかけています。たとえば、顔の表情がシンプルな切り絵で表現された『かおかおどんなかお』は、生後半年くらいから、かなりのあかちゃんが興味を示すようです。読み手の顔と絵本の顔を見比べて喜ぶあかちゃんを見ていると、こんな小さなうちから絵本の楽しみを共有できるのかと、感動されるかもしれません。

柳原良平作『かおかお どんなかお』より

わらべうたは、
子育ての強い味方

 あかちゃんは、とても良い耳を持っています。その耳に、ことばは初め、意味よりも“心地よい響きや、くり返しやリズムのおもしろさ”として、吸収されていくようです。

 そんなことばの楽しさ、心地よさがいっぱいのわらべうたで、あやしたり遊んだりしてみましょう。うたいながら抱っこでゆすったり、顔や手足をなでたりすると、きっとびっくりするくらいあかちゃんはご機嫌になるはずです。なぜなら、わらべうたには、あかちゃんの大好きなスキンシップや、心身の健やかな発達を促す昔ながらの子育ての知恵がたくさん詰まっているからです。

 わらべうたになじみのない方も、子どもが喜ぶわらべうたにやさしい絵が添えられた『あがりめさがりめ ~おかあさんと子どものあそびうた~』などを見ながら、いっしょに楽しんでみてください。

ましませつこ絵『あがりめ さがりめ』より